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2015年5月

浅田真央の復帰と採点システムの問題点

浅田真央が現役続行を念頭に練習を再開したという報道がありました。

詳細は本人が5月18日に明らかにするようですが・・・早速お隣の韓国では騒ぎになっているようです。

レコードチャイナで紹介されていた韓国ネットユーザーのコメントは、

「なんとも…。気味が悪いのを通り越して、今や痛々しい」

「この子、上手にできないのに、なんでいつも記事になるんだろう?キム・ヨナの足元にも及ばない」

「たぶん日本でスポンサーが付いてるんだろう」

「実力が全然駄目なわりに、扱いは大きい」

「実力はないけど、またえこひいきとか、いろんな特別待遇で延命できると思っているんだろう。フィギュア腐敗の象徴とも言える浅田やロシアの選手たちが平昌五輪で汚い手を使わないように、ちゃんと対策をしろ」

「今までいろんなスポンサーからもらったから、勝手に引退もできず、この年でも現役を続けなきゃいけなくなったんだね」

「日本の女子で浅田に対抗できる選手がいないみたいだ。技術とかではなくて、話題性で。日本のスケート連盟とかの団体も、浅田のおかげで入るお金がものすごいんだろう。そこにキム・ヨナが引退したから、『いけるんじゃない?』と思ってるのかも」

「キム・ヨナに勝てなかったから、キム・ヨナの国で金メダルを取ろうっていう計算だろう。ロシアがやったみたいに、審判にお金を渡して…。汚い世の中だ」

等と復帰を非難し、浅田真央を蔑むようなお決まりの内容でした。

ところで何か気付かないでしょうか?

韓国ネットユーザーのコメントと、羽生結弦を非難するコメントは非常に似通っています。

特に 『特別待遇』 『スポンサー』 『審判買収』 というキーワードは共通です。

浅田真央や高橋大輔のファンの一部にも、こんなデマを信じて羽生結弦叩きに乗ってしまう人間がいるようですが、そういう人達は浅田真央が復帰してお隣の国からデマを流された時、どう言い繕うつもりなのでしょうか?

浅田真央は特別?

そんな反論をするのなら、それは『特別待遇』を受けている証しであると受け取られてしまうでしょうし、採点恭順派が『採点批判をするファンは自分が応援する選手に勝ってほしいだけ』という主張を肯定してしまうことになってしまうでしょう。

採点への批判をする時、それが選手への個人攻撃になってはいけないのです。

それを言うなら、お前もキム・ヨナを個人攻撃していたのではないか?

それは違います。

採点への批判は、演技内容を検証して意見を述べていますし、キム・ヨナへの批判は彼女の言動や競技への姿勢に対してのものです。

なぜかそれを混同してしまう人がいるようですし、現在の採点システムの何が問題視されているのかを理解していない人もいるようです。

城田憲子氏に政治力があると言う人まで現われてしまうとは・・・問題の本質を判っていないか、頭の中が整理されていないかのどちらかなのでしょう。

そこで、今回は現在の採点システムがどのような経緯で誕生したのかを簡単におさらいしておきましょう。

現在の採点システムは、2002年のソルトレイクスキャンダル後に採用されました。

ソルトレイクスキャンダルは、フランスのジャッジであったマリー・レイヌ・ルグーニュがロシアと裏取引をしてロシアのペアを優勝させたという証言をしたというものですが、結局ルグーニュは後に署名入りの文書において「圧力は存在せず、自分はロシア組の優勝を確信している」と表明しています。

この騒動を受けて、ISUのチンクワンタ会長は、フランスの審判員に不適切な行為があったという理由でフランスの審判員の判定を除外し、1位をつけたジャッジの数を4対4の同数に変更してカナダ組にも金メダルを授与し、マリー・レーヌ・ルグーニュとフランス連盟会長に3年間の国際試合出入り禁止及びトリノオリンピックへの出入り禁止を決めました。

また、今後こうしたトラブルが起きないように、新しい採点システムを提案することも発表しています。

この時に示された裏取引を防ぐ画期的なシステムというのが現在のISUジャッジングシステム(コード・オブ・ポイント)というわけです。

この採点システムを起案したのがカナダのデビッド・ドレ氏(現ISU副会長、フィギュアスケート部門のトップ)を中心とした「新制度特別委員会」です。

実は、当時ISU副会長でフィギュアスケート部門の責任者であった久永勝一郎氏はこの委員会の存在を知りませんでした。つまり、「新制度特別委員会」は非公式なものであり、そこから提言されたシステムが日の目を見るのは本来であれば難しいことだったわけです。

そんな時に起こったソルトレイクスキャンダルが、現在の採点システムに裏取引防止という大義名分を与えてしまったのです。

しかし、ジャッジの匿名性はそのままでは「秘密性」という部分で既存の規則に抵触してしまうと総会で指摘されて廃案に追い込まれてしまうおそれがありました。

そこでチンクワンタ会長とデビッド・ドレ氏は、このシステムを2案に分けて提案し、実際に運用する際に合体させるという荒業を用いたのです。

その為に、ルール変更と認識していなかったとして米国や日本から抗議があり、それが後に新団体(WSF)設立騒動にまで発展してしまうのです。

なぜ、チンクワンタ会長やデビッド・ドレ氏は採点システムの変更を進めたのでしょうか?

理由は3つあります。

1つは、フィギュアスケートの採点はジャッジの主観によって決められるため、観客に判り難く八百長や裏取引の噂がつきまとっていたこと。

客観的な採点基準を示し、誰もが納得できるような採点システムにする必要がありました。

2つめは、審判員のコントロールです。

当時の審判員はISUの取り決めよりも、国の立場を重視していました。その為に東西の対立や各国の威信がジャッジの場に持ち込まれることとなっていたわけです。

これを打開して、どの審判もISUの定める基準に則った判断を下すようにしていく必要がありました。

3つめは、資金の確保です。

フィギュアスケーターはオフシーズンになるとアイスショーに出演し競技の資金を稼ぎます。当時(1990年代)は数多くのアイスショーが開催され、有名選手にはオファーが殺到していましたからアイスショーが本業となって引退する選手もいました。

また、アイスショーについてはIMGが絶対的な力を持っており、ISUが協力していたチャンピオンズ・オン・アイスは低迷していました。ショーツアー参加のため長時間の拘束によって参加選手は成績不振に陥ってしまうことも少なくない為、IMGのショーを優先する選手が多かったのです。そうなると有力選手が参加しないチャンピオンズ・オン・アイスは思ったような興行収入を上げられず、ISUへ入るお金も少なくなってしまいます。

それを解消する為、チャンピオンズ・オン・アイスに出演する選手には演技構成点での見返りを与え、有力選手が積極的に参加するように仕向けようと考えていたわけです。

米国や日本が強硬に反対しなければ、ISUの思惑通りに進んでいたのかもしれませんが『歴史を書き換えるようなものだ』という激しい抗議をされ、新団体設立騒動まで起きてしまっては、揺らいだ信頼を取り戻すために3の資金確保についての願望など後回しにせざるをえませんでした。

その為、新しいシステムは当初は慎重に運用され、まさにISUが主張する通りの裏取引の無い画期的なシステムとなったわけです。

しかし、チャンピオンズ・オン・アイスの建て直しはならず、2007年12月に経営破綻してしまうこととなり、ISUは新しい資金源の確保に悩むことになります。

現在の採点システムに日本は反対していました。

中心となっていたのは、フィギュア強化部長であった城田憲子氏です。

つまり城田憲子氏は、現在の採点を推し進めるISU執行部と対立関係にはあっても、協力関係にはないということです。

これでどうやって採点結果に政治力を発揮するのでしょうか?

更に彼女は2006年に発覚した不正経理問題を受けて、日本スケート連盟の理事を辞任しています。現場へ復帰はしたものの要職に就くことは無いと断言されています。日本国内でもいわゆる政治力を駆使するのは困難な状況と言えるでしょう。

ところで、城田氏も関わったこの不正経理問題で水増し請求されたお金はどこへ消えてしまったのでしょうか?

元会長の久永勝一郎氏は背任罪で懲役3年執行猶予5年の有罪判決を受けましたが、流用した金の使途は不明のままでした。

もしかすると、2002年に京都で開催されたISU総会での接待に使用されたのかもしれません。

そう考えると、この不正経理問題がなぜ発覚したのかも見えてくるような気がします。

ISUはIOCの力を借りてコトを収めました。簡単な話です。IOCは『新団体に加盟する国のオリンピック参加は認めない』と宣言したのです。その一言で新団体に協力しようとする選手はほとんどいなくなりました。また新採点に抗議していた日本も久永元会長と城田氏の失脚でおとなしくなりました。

不思議な話ですが、城田氏失脚の後にフィギュア部門の責任者となった平松純子氏は、大会実行委員長を務めた2007年世界選手権の運営に関し、連盟とコンサルティング会社との間に民事訴訟が発生しフィギュア委員長を辞任していますが、すぐにJOC(日本オリンピック委員会)の理事に就任し、日本オリンピアンズ協会常務理事も務めています。現在は国際スケート連盟理事にもなっていますね。

同じお金のトラブルなのに何が違ったのでしょうか?

Kim2010w

さて、新しい採点システムによって、各国の意向よりもISUの考えが反映されるようになりました。

それは競技としてのフィギュアスケートを考えるのであれば喜ばしいことですが、ISU内部の対立によって歪んだ形となってしまいました。

以前は、強い権限を有していたISUフィギュアスケート部門の技術委員会ですが、新採点システムの運用に強い権限を有したのはスポーツ局でした。

この部署は元々大会の運営や広報に関わる部署だったのですが、新採点採用時から、ジャッジの任命権や処罰にも関わるようになっていきます。

技術委員会はスポーツ局や理事会に助言を与える部署となり、補佐的な役割に変わってしまいます。

これは、スポーツ局長がデビッド・ドレ氏と共に新採点を起案したペーター・クリック氏になったこともあるのでしょうが、米国が新採点に反対して失脚するまでは技術委員会は米国が掌握しており、失脚とともに後釜に座ったのがロシアのアレクサンドラ・レケルニク氏であったということも関係しているのかもしれません。

フィギュアスケート大国であったロシアの力が増大してしまうのを、デビッド・ドレ氏やペーター・クリック氏が警戒して、権力の座から遠ざけようとしたのでしょう。

このような歪んだ体制となったことや、ジャッジの匿名性が疑惑を生む採点の温床になってしまったのでしょう。

これはISUが公的な機関であり、先に上げた裏取引を排除してフィギュアスケートを競技として揺るぎないものに発展させようと考えるならば是正されなければならないものです。

それが正されなかったのは、現在のシステムを使えば、ISUが推す選手は確実に上位に入れるといううま味があったからです。

現在のISU会長であるチンクワンタ氏は、韓国との不適切な関係を問題視され、2018年の冬季オリンピック開催地の投票権を剥奪されました。

それを裏付けてしまったのは韓国メディアの報道です。

IOCがチンクワンタ氏の投票権を剥奪したというニュースを報道する際に、彼は確実に平昌に投票しただろうに・・・と嘆いたわけです。

また、ソチオリンピックの女子シングル開催前には、チンクワンタ氏が韓国メディアに『キム・ヨナが金メダルを獲得するだろう。賭けてもいい!』という実に不適切な発言をしています。

現在の採点システムは、ISUの意向が如実に反映されるシステムです。

ISU会長の意見は確実に伝わることになります。

ソチオリンピックのフリーで浅田真央の得点が思ったように伸びなかったのは滑走順が早かったからだと思っているファンもいるようですが、それならなぜSPで滑走順の早かったキム・ヨナが一位通過出来たのでしょうか?

適正かどうかは演技内容と採点結果を検証してみないと判らない・・・今の採点システムが抱える問題はここにあります。

ジャッジの判断基準も任命権も監査権もISUの上層部が握っているのです。

そして、それらは公表されないのです。

ジャッジの匿名性を廃止するだけでは問題は解決しません。

ISU上層部が一手に握っている採点の判断基準もオープンにして、ジャッジの任命権・監査権を第三者が行うようにならなければ信頼に足る運営とは言えないでしょう。

私達ファンは、フィギュアスケートを愛するのであれば、それを粘り強く訴えていかなければなりません。

また採点批判をする場合には、適切な判断基準に基づいて行わなければなりません。

残念な話ですが、自分の応援する選手が勝てなかった悔しさからか、全日本選手権2010年の安藤美姫、2012年の羽生結弦、2013年の鈴木明子は不当な採点としてやり玉に挙がりました。

非難している人間が上げる不当な採点というのは根拠に乏しいものですし、採点内容の批判というより、選手への人格攻撃が含まれた非常に嘆かわしいコメントも見受けられました。

ファン同士の不毛な争いで、根本的な採点システムの問題は一向に解決しない・・・こんな状況を誰が喜ぶのでしょうか?

採点される側の選手達は採点に不満があっても抗議は出来ません。

判定について納得出来なくても受け入れるしかありません。

そこにファンからの罵詈雑言が加わってくると・・・

そんな状況が正常だとは誰も思わないでしょう。

採点に疑問を持つのは結構ですし、応援する選手の採点結果に納得出来なくて愚痴をこぼすのも結構です。

それがなぜ、他の選手への攻撃になってしまうのか?

人には誰でも浅ましい妬みや抑えようのない怒りの感情が芽生える瞬間があります。

しかし、礼節を知っている人であればそれを人前でそのままさらけ出すことはしません。

それで納得できない人は、『正当化』というレールを敷くわけです。

フィギュアスケートの場合は、『フェアジャッジ』です。

フェアジャッジは、浅ましい感情や選手への人格攻撃の隠れ蓑に使うための言葉ではありません。

それをいまだに理解出来ない人達は、すぐにフィギュアスケートファンをやめるべきです。

浅田真央が復帰すれば、またおかしな状況になってしまうかもしれません。

そんな時に感情的で攻撃的な人間がファンの中に存在していれば、浅田真央を貶めようとする人間にとっては格好の攻撃材料になります。

ここまで書いて思ったのですが、そもそも文意を正確に読み取れるような人間なら攻撃的なコメントなどしないでしょうし、会場で騒ぐこともないでしょう。

問題なのは自覚の無い人達でしたね・・・

キム・ヨナの狂信者と共に、応援する選手以外を攻撃するファンも火種になりそうで今から頭が痛いです・・・

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